竣工 | : | 2004年 |
所在地 | : | 東京都世田谷区 |
用途 | : | 専用住宅 |
構造 | : | 鉄筋コンクリート造+鉄骨造 |
規模 | : | 地上2階地下1階 |
面積 | : | 敷地面積 101.23² 延床面積 143.88m² |
敷地条件 | : | 第1種低層住居専用地域 |
家族構成 | : | 夫婦+子供2人 |
構造設計 | : | 空間工学研究所 |
プロデュース | : | ベースメント |
担当 | : | 武村謙 |
掲載雑誌 | : | GA Houses No.80 |
敷地はもともとそこにあったそれほど広くない土地が四つに分割されたうちの一区画で、南と東の二面を道路に接しており、また南側道路より2メートルほど高くなっていた。周辺は中規模住宅が小さな庭や駐車場を介して隣り合う典型的な住宅街で、同時に売り出された残りの三区画もこの住宅とほとんど時期を合わせるようにして、しかもピッタリと背中を合わせるようにして竣工するだろうことははじめから解っていた。
施主からの与条件を組み込むと三層分のフラットな床はどうしても必要で、しかも階段部分を除いて層間をつなぐ空間をつくり出す余裕はなく、全体をひとつの連続した空間として計画することはできない。
この時点で、建築面積いっぱいに取られた三枚の床が積み重なるという構成の骨格はほとんど自動的に決定され各層の関係は基本的には切れて、それぞれ別々なものとして扱わざるを得なくなった。
計画に際して参照できるほとんど唯一の敷地特性は南側道路と直交する細い私道が敷地と長軸を合わせるようにしながら南に向かって真っ直ぐに30mほど延びていっているということで、この私道はいったん止まっているのだが、その先は2mほど落ち込んでまた続いている。敷地の真南にちょうどエアポケットのような隙間ができているというわけで、この隙間を通してかなり遠方までの視界と十分な光と空を獲得できそうだった。全体の計画はこの敷地特性に対して非常に素直に対応している。
斜線をかわすために最下層の床を南側道路面よりやや下げ、西側隣地とのあいだに生じた段差で必要になった土止めを兼ねたをRC壁を三層分立ち上げ、この壁に水平力を負担してもらう。この壁の最上部付近から鉛直力だけを受け持つ細い鉄骨を900mmピッチでL型に,昆虫の節足のように出して底版に着床させる。 RC壁と900mmピッチの節足が構成する、三層分の高さをもったトンネル状の空間が構成の基盤である。
1・2階の床は、このトンネル状の空間に挿入される薄い版である。採光と通風は基本的に南北方向で採っている。東側の外壁は。厚0.8mmのガルバリウム鋼板をブラインドリベットで留めて工場製作した幅約850mm 長さ約7mの一枚パネルで、節足間にドライジョイントで取り付けている。