ODW計画



●可能性を閉じないこと。
街に向けて、市民に向けて、演出家や観客に向けて、ホール群の使い方に向けて、将来計画される専用ホールに向けて、「可能性を開くこと」。
目的をもって訪れなくても、ここにきたら誰かにそして何かに出会える、「同時共存する場を開くこと」。
これが提案の趣旨です。
この提案を、以下の三つの方針に沿って具体化しています。

・緑の帯を取る。
建物をお堀端通りに対して引いて構えることにより、建物と道路とのあいだに帯状の広場をつくり出します。この広場はオープンロビー・ホワイエ・2階テラスさらにサブホールと直接つながっていて、出会いと交流の場所として、情報交換の場所として、ひとり佇む場所として,コーヒーを飲みながら談笑する場所として、人々に解放されます。
街に向けて溶け出していくような、城址公園と一体となったこの都市空間こそが、街のシンボルとなります。

・メインホールの舞台を開く。
城下町ホールを開くとはメインホールを開くこと、メインホールの舞台を街に向けて開くことだと考えました。
舞台はオープンロビーを介して帯状の広場へ、さらに城址公園へとつながっていきます。サブホールも屋上のアンフィシアターも、また最上階のアトリエテラスも同様です。
街が舞台に向けて流れ込みます。街がそのまま舞台になるのです。

・都市の回遊拠点を回遊さす。
交流系機能・創造系機能を展示機能と読み換えてみます。そうすると、ホールでもあり美術館でもある‥‥ホールでもなく美術館でもない‥‥そんな建築が構想できます。ホールと美術館が同居するコンプレックスではなくて、それらがひとつに融合したような建築。ホール系・交流系・創造系の三つの機能は曖昧に混じり合い、新たな出会いがおこります。メインホールの舞台や客席も展示室になるのです。
エンドレスなサーキットが館の内外を巡る、オープンエンドな都市の回遊拠点です。

●城址公園と一体にすること。
城址公園と一体の計画であることを明確にするため、城址公園の正面入口である馬出門土橋(めがね橋)の軸線上にメインホール舞台とサブホールおよび屋上のアンフィシアターを据え、これらを城址公園に向けて実際に開いています。さらにこの軸線の際に主要エントランスを設け、西側道路(お堀端通り)で唯一広がりをもつめがね橋のたもとに賑わいをつくり出し、ストリートレベルでも直接的に城址公園とつないでいます。