吉祥寺本町の集合住宅



竣工:2012年
所在地:東京都武蔵野市
用途:店舗兼用住宅+集合住宅
構造:木造
規模:地上2階
面積:敷地面積 店舗兼用住宅:154.46m² 集合住宅:333.72m²
延床面積 店舗兼用住宅:102.13m² 集合住宅:333.32m²
敷地条件:第1種低層住居専用地域
住戸数:1戸+7戸
構造設計:構造設計室なわけんジム(すわ製作所)
外構:庭のひょうげ屋
担当:青島充 北澤友恵

四重奏のL

敷地東面には武蔵野の雑木林と大木並木が残る修道院の庭園が広がっている。
その庭園を含めた周辺の豊かな緑と協奏する居住環境を目指した。
離れ小屋の既存店舗をそのまま残して夫婦二人の住居を増築し、さらに集合住宅を新築することが求められた。
そこで、既存店舗を基点として内と外の空間を交互に二層ずつ、四重層のL字空間を配置した。内の空間は、既存店舗をL字の増築住居が包み込み、さらにその住居を七戸の長屋集合住宅がL字に囲む。外の空間は、線状の住居専用ニワを基軸として、住居と集合住宅の間のL字共用ニワと、集合住宅の外周アプローチであるL字トオリニワとの二層のL字ニワを挿入し、さらにその外周で近隣の緑に包まれる。
増築住居では既存店舗の外壁や窓がそのままその内に貫入し、内壁はその外壁を包み込むと同時に白い金属の外(外壁と屋根が連続した曲面)に包まれている。包み込む白い金属の外は、さらに共用ニワを介して集合住宅のL字外壁(既存店舗と同色の)に囲まれる。
四重層のL字空間は、内と外の空間が包みつつ包まれ囲みつつ囲まれる「ミルフィーユのような重層空間」となり、二襞のソリッド/ヴォイドが錯綜する。
屋根は大木並木のシルエットに合わせて角のない連続する波形とした。緑に恵まれている故に落ち葉が多く、落ち葉対策を施した3カ所の樋以外は雨水を犬走りに直接落とす別荘的納まりの屋根と壁とした。
窓は住居と集合住宅や近隣住宅の視線が直接交錯しないよう位置を決めたため、外では多くの小窓がランダムに開く立面となり、内では小窓により変調した光と影が時と共に重奏する。