GFP計画



Gファミリーパークは、T市郊外に計画されている総面積76hの公園である。計画地は、南北を山に挟まれながら東に向かって緩やかに下っていく傾斜地で、ひじょうに豊かな自然景観を持っている。 サービスセンターの置かれる場所は、広大な芝生広場に面する公園の西側端部に位置している。ここは、道路を挟んでさらに西に計画されている駐車場から道路越えのブリッジを使ってアクセスしてくる来園者を最初に迎える、いわゆる公園の入口にあたる場所である。 来園者がブリッジを使って道路越えにアクセスしてくるという方法、そのブリッジの高さ、施設を楕円形の地形の中に納めること、しかもその時、既に造園設計が終了している地形の外の区域に一切影響が出ないように計画すること、などがあらかじめ決められていた。 建築設計の趣旨は下記の3点である。

1.豊かな自然景観こそこの公園の特色である、という公園全体計画の趣旨に沿い、建築本体はシンボリックに構えることなく、むしろ積極的に消えていき、わずかに露出する部分については逆に強く自然と対峙させ、そのことによって自然の豊かさを強調すること。
2.ブリッジの高さ(+195)と芝生広場のレベル(+188)を調停し、このレベル差を工夫して場所と行為の関係性を複層化させること。
3.建築を種々の関係を取り結ぶ媒体として位置づけ、さらに全体を巨大な玩具として捉えること。

結果的に、施設全体はブリッジのレベル(+195)より下にすべて内包され、アクセスしてくる来園者にその形は見えず、彼らは雄大な自然景観を何にも遮られることなく正面に捉えることになるだろう。施設屋上にあたる広いテラスは「空へのファサード」として計画されており、来園者には、下に降りていく大階段やスロープ、あるいは大きな円弧の花壇といった建築的要素の断片のみが、行為との関連において認められるのみである。これらの大階段やスロープは、来園者を館内や芝生広場に向けて誘導するといった機能的な側面の他に、多様な行為を誘発するための装置として位置づけられており、多様な解釈が可能な建築的玩具としての道具だてにもなっている。