YKP計画



Y市は、総合計画「ゆめはま2010プラン」を未来に向けて推進しており、その中で特に、ウォーターフロント地区においては水際に沿ってできる限りオープンスペースを獲得し、地区中央部公園とともに緑のネットワーク化を図ることが提案されている。本計画案においては、施設計画の主題である「庭港(にわみなと)」を直截的に解釈・表現し、21世紀に向けた都市的文脈にのせて、みなとみらい21地区から赤レンガパーク―象の鼻パークと続く緑のネットワークを山下公園まで連続させることを提案しており、高層ビル群を背景に持つ、広域な近未来的都市公園の風景を現出しようとしている。

A-2:形態的特徴と大屋根建築の形態は、先の主題と国際港都横浜のイメージに素直に応答する形態をとっており、海に突出した緑の丘と、その上を渡る風を表現したものとなっている。庭園的な広がりを確保するために、丘の上は広場として開放され、そこには芝が敷き詰められて季節の花が植えられる。丘の上に直立する壁は全て透明ガラスとし、視覚の連続性を妨げないようにすると同時に、24時間開放を考慮して、夜間には巨大な行灯となるよう計画した。風を表現している大屋根は、横浜港のシンボルとしての強度を獲得するためである。

A-3:断面構成南北に長いリニアな敷地の中で、複合化した諸機能と複雑な交通動線とを明快に処理するために、主要な機能は高さをずらして階別に配置されており、基本的に各機能は各階で完結するようになっている。ただし、庭園(インナーガーデン)だけは、丘の上の屋上広場(外部)からの連続として、各階を緩やかに貫いて施設を縦断し、大桟橋先端まで続く緑の丘を体現していると同時に、市民利用施設のホワイエ―市民交流サロン―ミーティングルームとの連続利用をも可能とし、また、クルーズ利用が無いときの全館一体利用時の要ともなる。